A型肝炎(ウイルス性肝炎):海外での感染が増加中
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A型肝炎(ウイルス性肝炎):海外での感染が増加中
感染力が強いA型肝炎は、「流行性肝炎」と呼ばれるほどかつて日本でも多発しました。現在では、東南アジア諸国を訪れて感染するケースが増えています。
A型肝炎の感染経路:土地の衛生状態が深く関係している
A型肝炎は、A型肝炎ウイルスによって起こります。このA型肝炎ウイルスは、血中よりも胆汁(タンジュウ)の中に多く排泄(ハイセツ)されるために、便に混入して体外へ出されます。例を挙げますと、食物の取り扱いが不衛生だったり、下水道の設備が整っていなかったりすると、食物や飲み水が便の中のウイルスによって汚染され、それを口にすることで、このA型肝炎ウイルスに感染します。
A型肝炎は、南の国に比較的多く発生しており、北の国には少ないという特徴があります。その理由は、A型肝炎の感染経路に関係があるとされております。ようするに、環境衛生の設備があまり整っていない熱帯地域や亜熱帯地域ほど、ウイルスの感染の機会が多いということです。
そして、日本でも、下水道の設備が行き届かず、農作物の肥料に人糞を使用していた時代には、A型肝炎が多発しました。しかしながら、上下水道が整備され、衛生管理も整備されて大分良くなった現在においては、稀(マレ)に生ガキを食べてウイルス感染したり、給食などで小規模に集団発生することはありますが、めっきり少なくなっていますね。
- 【参考】「A型肝炎ウイルス」とは:A型肝炎ウイルス(HAV:hepatitis A virus)は小さな球形のウイルスで、直径は約30ナノメートル(1ナノメートルは100万分の1ミリメートル)。小児麻痺(マヒ)を起こすポリオウイルスと同じ仲間で、ともにRNA(リボ核酸)ウイルスです。
ウイルスへの免疫を持たない若い日本人が海外で感染するケースが多い
日本では近年において少なくなっているA型肝炎ですが、東南アジアやアフリカなどの開発途上国では、今なお流行を繰り返しています。そのために、最近では、日本からの旅行者が現地で感染して、帰国後に発病するといったケースが増えています。
日本人の場合、40歳以上の人の大多数は、A型肝炎の免疫(ウイルスや細菌などが体内に侵入した際に、排除して自分の身体を守ろうとする働き)を持っているといわれます。しかしながら、40歳未満では免疫のない方が多く、20歳以下となると残念ながらほとんどの人が持っていません。つまり、衛生環境が悪かった時代に育った40歳以上の人は、いつの間にかA型肝炎ウイルスに感染して免疫を持っているのに対して、環境の整備が進んでから生まれた人は、A型肝炎ウイルスの感染を受けたことがないため、それに対する免疫を持っていないことが多いのです。
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