B型肝炎(ウイルス性肝炎):血液を介して人へと感染
- 肝臓病の種類と原因と治療法
B型肝炎の感染経路:汚染された血液が体内に入って感染する
B型肝炎は、B型肝炎ウイルスによって起こる肝炎(カンエン)です。B型肝炎ウイルスに汚染された血液が、皮膚の傷口などから体内に入り込むことによって感染します。「経口感染(ウイルスに感染した動物由来の肉や、糞便で汚染された水などの経口摂取などからの感染)」や「空気感染」することはなく、原則として個人から個人へ「血液感染(注射や輸血、歯科治療といった医療行為の他、外傷による出血が目など粘膜に触れるなどでの感染)」をします。
かつて日本においては、B型肝炎は輸血で感染する代表的な肝炎(カンエン)の一つでした。しかしながら、輸血用の血液が厳しくチェックされるようになって以来は、日本においても輸血が原因でB型肝炎ウイルスに感染するケースは、全くといっていいほど無くなっています。今現在では、B型肝炎ウイルスの主な感染経路として、出産時の母子感染、医療従事者の針事故などによる感染、セックスによる感染などが挙げられます。
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- 【参考】「B型肝炎ウイルス」とは
:B型肝炎ウイルス(HBV:Hepatitis B Virus)は、直径約40ナノメートルの球形ウイルスです(1ナノメートルは100万分の1ミリメートル)。外側の表面部分はHBs抗原、芯にあたる部分はHBc抗原とHBe抗原という二重惰造になっているのが特徴です。
- 【参考】「母子感染(垂直感染)」とは
:ご周知のとおり出産に出血はつきものなのですが、生まれる際に、赤ちゃんが通る産道で母親の血液に触れるごとによってウイルスに感染することを『母子感染』いと言います。感染者が親から子へと『タテ』に広がっていくことから、「垂直感染(スイチョクカンセン)」と呼ばれることもあります。
B型肝炎の感染・発症タイプ:急性肝炎として発症するのは一過性
B型肝炎ウイルスの感染の仕方には2つのタイプがあります。一つ目の感染方法は、「一過性感染」です。B型肝炎ウイルスに感染すると、1〜6か月の潜伏期間(ウイルスなどの病原体に感染してから、感染者の体に症状が出るまでの期間)を経て急性肝炎を発症します。
この際、肝炎の症状の程度はさまざまで、まったく症状が出ないまま免疫ができてしまう人もいれば(これを「不顕性感染(フケンセイカンセン)」)、発熱や黄疸(オウダン:身体にビリルビンが過剰にあることによって眼球や皮膚といった組織や体液が黄色く染まる状態)などの典型的な肝炎(カンエン)の症状が出る患者さんもいます。成人が急性B型肝炎を発症した場合には、感染は一過性で、肝炎の症状の軽重に関わらず、最終的にはほとんどの人が完全に治癒(チユ)します。この際、慢性肝炎に移行することは、まずありません。
もう一つは「持続感染」です。これは、免疫機構が整っていないときにB型肝炎ウイルスが体内に侵入してきた場合、ウイルスを異物と認識できず、攻撃しないでウイルスの存在を許してしまうケースです。このように、ウイルスを保有している人を「キャリア」といいますが、B型肝炎のキャリア(HBキャリア)は、こうして成立します。
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