脂肪肝(肥満による肝障害):栄養の過剰摂取で目下急増中
- 肝臓病の種類と原因と治療法
脂肪肝(肥満による肝障害):栄養の過剰摂取で目下急増中
「飽食の時代」といわれる現代日本では、栄養が行き届きすぎて肥満の人が増加しています。脂肪肝は、肥満が原因で起こる病気の一つです。
脂肪肝は酒を飲まない人にも起こる
「脂肪肝(シボウカン)」は、肝臓(カンゾウ)に脂肪がたまる病気で、過度の飲酒(深酒)が原因で起こります。しかしながら、お酒をほとんど飲まない人にも脂肪肝は起こりえます。これは「過栄養性脂肪肝(カエイヨウセイ・シボウカン)」といって、栄養のとりすぎで肥満している人によくみられるケースの病気です。1日に摂取するエネルギー量が消費するエネルギー量より多いと、余った分は中性脂肪の形で体内に貯蔵されます。中性脂肪は肝細胞で合成されますが、栄養を摂取し過ぎるとその材料となる脂肪酸やグリセロールがたくさん肝臓に送られてくるために、中性脂肪が大量に生産され、肝細胞にたまってしまうのです。脂肪肝は、肝臓の病気としてはそれほど怖いものではありません。しかしながら、脂肪肝を起こすような場合は、血液中のコレステロールや中性脂肪も高くなっており、心臓や血管系に及ぼす影響が心配されます。
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- 【参考】「脂肪肝はその原因を解決すれ.ば、ほとんどが治癒する」について:脂肪肝が増加しているのは、それだけ栄養を摂り過ぎて肥満している人が増えているということにもなります。しかしながら、検査方法・医療技術が進歩して、脂肪肝の発見率が高くなったとも大いに関係しています。ただし、成人病検診などで脂肪肝が見つかっても、あまり心配することはありません。脂肪肝というのは、肝臓に中性脂肪がついて機能が低下している状態ですが、その原因を取り除けばほとんどが治るものであるということは覚えておきましょう。
肥満による脂肪肝は自分で治せる肝臓病
ウイルスによる肝障害の場合は、本人が努力しても治らないことが少なくありません。それに対して、原因がアルコールや肥満とはっきりしている場合は、状態にもよりますが、本人の努力しだいで治すことができます。すなわち、アルコール性肝障害であれば禁酒することが何よりの治療薬ですし、肥満が原因の脂肪肝では、食生活を改善して減量すれば治すことができるのです。もちろん、それは簡単なことではありません。太っている人の食べる量を調べると、「普通」と答えた人より「たくさん食べる」と答えた人のほうが多く、「たくさん食べるから太る」、「太っているからたくさん食べるLという悪循環に陥っていることがわかります。これを打ち破るには、「自分の病気は自分で治す」という強い意志が必要です。要は、本人の努力しだいということになりますが、1か月間ダイエットしただけでも、その効果は検査値に現れるはずです。
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- 【参考】「それほど食べないのに脂肪肝になるケース」について
:脂肪肝になる主な原因は飲みすぎと食べすぎですが、飲む量や食べる量が少ないのに脂肪肝が起こることもあります。こうした場合、考えられるのは栄養バランスの乱れです。インスタント食品や外食などが多いと、どうしても糖質や脂肪の摂取量が増え、体が必要とするたんぱく質やビタミン、ミネラルが不足してしまいます。栄養が偏ると、肝臓は十分に機能を果たすことができず、脂たいしゃ肪の代謝に異常が起こり、脂肪肝という状態になってしまうのです。
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