脂肪肝の診断・治療法:肥満の解消に努め、運動療法と食事療法が中心
- 肝臓病の種類と原因と治療法
脂肪肝の症状
肝細胞に脂肪がたまって細胞内の小器官が圧迫されても、それによってすぐ強い肝障害が起こるというわけではありません。脂肪肝の患者さんによっては、疲れやすい、食欲不振などの症状が現れる場合もありますが、自覚症状は何もないのが一般的です。
ただし、例外として、「急性妊娠脂肪肝」があります。これは、主に妊娠後期に、腹痛、発熱、体の倦怠感(ケンタイカン)、吐き気、黄疸(オウダン:身体にビリルビンが過剰にあることによって眼球や皮膚といった組織や体液が黄色く染まる状態)などの症状で急激に発病するもので、「劇症肝炎」のような状態になることもあります。頻度は少ないですが、死亡率は十数パーセントあります。なぜ起こるのか、原因はいまだハッキリとはわかっていません。
脂肪肝の診断方法
脂肪肝は、血液を採取して調べる肝機能検査と、超音波検査(エコー検査)、CT(コンピュータ断層撮影)検査などで診断がつきます。脂肪肝の場合は、GOTやGPTはともに上昇しますが、変動が少ないのが特徴です。γ(ガンマ)−GTPやALPも上昇しますが、アルコールが原因のものを除いて、通常は大きな上昇はありません。
肝機能検査で脂肪肝の疑いがある場合は、エコー検査やCT(コンピュータ断層撮影)検査で確定診断が行われます。エコー検査では、肝臓(カンゾウ)に脂肪がたまっていると内部がキラキラ輝くように映ることから、またCT検査では、正常な肝臓と比較して黒っぽく映ることから、それぞれ脂肪肝と診断がつきます。
それ以前は、脂肪肝の確定診断といえば、細胞の一部を採取して調べる肝生検が一般的でしたが、現在は、エコー検査やCT検査による画像診断が主流になっています。また、ウイルス性肝炎と区別できない症例もあることから、ウイルス(B型肝炎、C型肝炎)検査も除外診断のために行われています。
脂肪肝の治療方法
原因がハッキリしている場合は、その原因を取り除くことが治療の原則です。「アルコール性脂肪肝」なら禁酒を、「過栄養性脂肪肝」なら摂取エネルギーを抑えてウェートコントロールをすれば治癒(チユ)します。脂肪肝は、飲みすぎや食べすぎによる肥満の人に多い病気です。
このような点を勘案すると、脂肪肝を治すには、肥満解消に努めることが一番の近道です。過食を避け、タンパク質中心の食事を心がけるほか、太っている患者さんは運動不足になりがちなので、週に1〜2回程度は軽い運動療法(関節を支える筋肉を鍛える体操や関節の可動域を広げるストレッチングなど)を行うようにしましょう。
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