肝ガン:肝炎ウイルスや肝硬変が原因で、初期は自覚症状がほぼ無い
- 肝臓病の種類と原因と治療法
肝ガンの特徴と原因
肝臓(カンゾウ)にできるガンは、その発生の仕方によって、大きく「原発性ガン」と「転移性ガン」に分けられます。「原発性ガン」というのは、初めから肝臓に発生した癌(悪性腫瘍)のことです。さらに、この「原発ガン」は、肝細胞がガン化していく「肝細胞ガン」と、胆管の上皮細胞がガン化する「胆管細胞ガン」に分けられます。「原発性ガン」の多くは肝細胞ガンで、胆管細胞ガンは5パーセント程度にすぎません。
一方、「転移性ガン」は、ほかの臓器にできたガン細胞が肝臓に飛び火して増殖するものです。これには、肝臓以外でできたガン細胞が、血液中から肝臓内に入り込む場合と、肝臓の周囲にできたガンが直接肝臓に入り込む場合があります。
肝ガンがなぜ起こるのかは、ほかの多くの癌(悪性腫瘍)がそうであるように、わかっていません。しかしながら、肝ガンの発生に深く関係があると考えられている因子はいくつかあります。
まず挙げられる危険因子(リスクファクター)は、肝炎ウイルスです。肝ガンは、B型肝炎ウイルスのキャリアが集中している東南アジアやアフリカに多発すること、さらに肝ガンの細胞の中にB型肝炎ウイルスが侵入していることが最近証明されたことなどから、肝ガンの発生にB型肝炎ウイルスが密接にかかわっていることは明らかです。これに加え、肝細胞ガンの場合、患者の約100パーセントがC型肝炎ウイルスに感染しており、発ガン性からいえば、B型よりC型のほうが高いことがわかっています。
そして、第二の危険因子は、肝硬変(カンコウヘン)です。肝硬変の状態が長時間にわたって続くと肝ガンになりやすいことはわかっています。実際に、肝ガン患者の約80パーセントは肝硬変を合併していることから、肝硬変は肝ガンの最大の危険因子といえます。発ガンの経緯をみても、B型肝炎あるいはC型肝炎の肝炎ウイルスが原因で起こる慢性肝炎から肝硬変へ進み、そこに肝ガンが発生する症例が圧倒的に多くなっています。
その他の危険因子としては、女性ホルモンなどのホルモン剤、豆類などに発生するアフラトキシンというカビ毒、寄生虫などがあります。
肝ガンの症状
肝ガンに限らず、癌(悪性腫瘍)の場合、初期の段階ではほとんど自覚症状はありません。肝ガン患者の受診理由は、体がだるい、食欲が無い、お腹が張る、黄疸(オウダン:身体にビリルビンが過剰にあることによって眼球や皮膚といった組織や体液が黄色く染まる状態)が出た、などが多いです。しかしながら、これらは肝硬変(カンコウヘン)にもよく見られる症状ですから、肝ガン特有の症状とは言い切れません。ガンが進行すると、こうした症状のほかに、急激な体重の減少、発熱、腹痛、上腹部のシコリなど、さまざまな症状が現れます。
≫次の記事「肝ガンの診断・治療法:画像診断を中心に、治療法も近年医療技術が発達」へ
◆「肝臓病の種類と原因と治療法」のおススめ記事◆
・ウイルス性肝炎 ≫ 主な原因
[1]急性肝炎 [2]慢性肝炎 [3]劇症肝炎
各肝炎の特徴@A型 AB型 BC型 CD型E型
・肝硬変 ・脂肪肝 ・肝ガン ・薬物性肝障害
・アルコール性肝障害
@ アルコール性脂肪肝 A アルコール性肝線維症
B アルコール性肝炎 C アルコール性肝硬変
・自己免疫性肝障害
@ 自己免疫性肝炎 A 原発性胆汁性肝硬変
◆「肝臓病の合併症の種類」のおススめ記事◆
・腎臓病 ・心臓病 ・糖尿病
・胃・十二指腸潰瘍 ・胆のうの病気
・甲状腺の病気
|