肝硬変:肝臓の線維化が進行して全体が硬化
- 肝臓病の種類と原因と治療法
肝硬変の特徴と原因
肝細胞が何らかの理由で破壊されると、その部分は線維成分で埋められていきます。そして、次々に肝細胞が破壊されると、そのスペースはどんどん線維成分に占領されていきます。こうなると、肝細胞が再生しても、本来なら六角形をしている肝細胞の集団である肝小葉(カンショウヨウ)の形状がいびつになり、なめらかだった肝臓(カンゾウ)の表面はデコボコになってしまいます。肝硬変(カンコウヘン)というのは、こうして肝臓の線維化が進み、全体が硬くなったものです。肝硬変になると、肝臓内部の血液循環に異常が生じ、肝臓の働きが果たせなくなります。
肝硬変は、欧米においてはアルコールが原因で起こることが多いのですが、日本では約8割が肝炎ウイルスによる慢性肝炎からの移行です。これに加え、残りの大部分は、アルコールの飲み過ぎが原因で起こります。原因となる肝炎ウイルスは、ほとんどがB型とC型です。慢性肝炎患者の一部(およそ10パーセント)は、数年から30年の間に肝硬変にまで進行することが知られています。肝細胞が破壊されても、炎症が一時的なものであれば肝細胞の再生と線維の増生も一過性のもので終わりますが、炎症が慢性化すると、肝細胞の再生と線維の増生が繰り返されます。
肝硬変の症状
肝臓(カンゾウ)には「代償能(ダイショウノウ)」という機能があり、肝臓の一部に障害が起こっても、残りの部分がそれをカバーして働きます。そのため、肝硬変(カンコウヘン)になっても、初期の段階のうちは肝臓の働きもよく、自覚症状はほとんどありません。このような状態の肝硬変を「代償性肝硬変(ダイショウセイ・カンコウヘン)」といいます。
その次に、病気が進行すると、代償的に働く肝細胞が不足して「非代償性肝硬変」の段階に入ります。そして、次のようないろいろな症状が現れます。@からDの症状については、当サイトの別ページですでに述べましたので、ここでは省きます。それ以外の症状について、これから詳しく説明していきます。
- 手のひらが赤くなる(手掌紅斑)
- 皮膚にクモ状の血管が浮き出る(クモ状血管腫)
- 腹部の静脈が浮き出る
- 男性の乳腺がふくらむ
- 黄疸(オウダン)が現れる
- 出血しやすくなる
- 肝臓、脾臓(ヒゾウ)の腫大
- 腹水(フクスイ)が溜まる
- 吐血、下血が起こる
- 肝性脳症(カンセイノウショウ)を起こす
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