A型肝炎の特徴:治癒しやすく、慢性化しない
- 肝臓病の種類と原因と治療法
A型肝炎の特徴:治癒しやすく、慢性化しない
A型肝炎ウイルスに感染すると、一般的に言って、2〜6週間の潜伏期間(ウイルスなどの病原体に感染してから、感染者の体に症状が出るまでの期間)を経て、肝炎(カンエン)を発症します。しかしながら、急性肝炎では、「不顕性感染(フケンセイ・カンセン)」といって、感染しても症状が現れない場合が多く、大部分の患者さんは自覚症状のないまま過ぎてしまいます。
A型肝炎の主な症状については、当サイトの別ページでも詳しく述べますが、A型肝炎の場合、ほかのタイプの肝炎(カンエン)と比較して、発病が急激であることが特徴の一つです。そして、東南アジアなどに旅行して、帰国後に、急に熱が出たりしたら、A型肝炎が疑われますので、血液検査を受けたほうが良いでしょうね。
また、A型肝炎は、約1か月ほどで治癒(チユ)します。「劇症肝炎(急性肝炎のなかでもとくに重症のものを指し、高度の肝機能不全と意識障害[肝性脳症または肝性昏睡]などが症状として見られる)」に移行するケースは非常に稀(マレ)で、慢性化(急激な症状の変化ではなく、症状が長引く状態)したり、将来的には、肝硬変(カンコウヘン)になったりすることもありません。このような点を勘案すると、A型肝炎はウイルス性肝炎のなかで、最もタチの良い肝炎であると言えるでしょう。
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- 【参考】「A型肝炎の症状が現れる段階になれば、人にうつす危険は無い」ということについて:A型肝炎は、いわゆる「麻疹(ハシカ)」と同じで、一度かかると二度とかかることは無く、いったん治癒(チユ)しまえば人にうすということもありません。一人に感染する危険性(リスク)があるのは、潜伏期間(ウイルスなどの病原体に感染してから、感染者の体に症状が出るまでの期間)中です。体内に入ったA型肝炎ウイルスは、肝臓(カンゾウ)で大量に増殖して便の中に排泄(ハイセツ)されるため、排便後の手洗いをなど怠ると知らない間に他人にうつす危険性(リスク)があります。とは言いましても、手を洗う習慣がキチンとみについていれば、感染の心配はまずないと言ってよいでしょう。潜伏期を過ぎて症状が出る頃になれば、A型肝炎ウイルスを攻撃しようと免疫反応(ウイルスや細菌などが体内に侵入した際に、排除して自分の身体を守ろうとする働き)が強く起こっているということなので、うつす危険性(リスク)は無くなります。
A型肝炎予防:「ワクチン」、「免疫クロブリン」が効果的
当然のことながら、A型肝炎の免疫(ウイルスや細菌などが体内に侵入した際に、排除して自分の身体を守ろうとする働き)を持っていれば問題ありませんが、衛生状態がよくなってから生まれ育った患者さんは、A型肝炎ウイルスに対する免疫が無い場合が多いので、A型肝炎の流行している土地に旅行をするような場合には、ウイルスに感染しない配慮が必要です。
A型肝炎の予防法として最も効果的なのは、A型肝炎の予防ワクチンの接種や免疫グロブリン注射をすることです。ワクチンは、接種してから免疫ができているかどうかを確認する必要があります。ワクチンを一度接種すれば、持続的な効果が期待できます。その一方で、免疫グロブリンは、すぐに効果が現れますが、予防できるのは2〜3か月と一時的で、長期間にわたって滞在する場合は、数か月おきに投与しなければなりません。免疫グロブリンは、短期間の旅行向きと言えます。なお、40歳以上の患者さんの場合であっても、A型肝炎に対する免疫が無い場合もありますので、血液検査でその有無を確かめて、必要に応じてワクチンの接種などをすると安心でしょう。
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