インターフェロン:ウイルスの増殖を抑えたりウイルス感染を防ぐ作用
- 肝臓病の種類と原因と治療法
ウイルスの増殖を抑える作用がある
インターフェロンとは、ウイルスに感染した細胞が自らを守るために作り出す物質です。そして、このインターフェロンと言う物質は、ウイルスの増殖を抑えたり、ウイルスが細胞に感染するのを防ぐ作用を持っています。これには、生産している細胞別にα(アルファ)型、β(ベータ)型、γ(ガンマ)型の3種類があり、性質や働きはそれぞれ異なったものとなっております。インターフェロンは、本来、生物が必要に応じて作り出すものです。しかしながら、慢性肝炎を治癒(チユ)するような場合には、生産されるわずかな量では足りません。そこで、人工的にインターフェロンを大量に作り、外から補うことによって治療に活用するのです。これが、「インターフェロン療法」です。
B型肝炎よりC型肝炎に有効なインターフェロン
現在、慢性肝炎の治療に使われているのは、α(アルファ)型とβ(ベータ)型の2種類のインターフェロンです。α型は筋肉注射、P型は静脈注射で投与されます。投与方法には、「@毎日注射を行う『連日投与法』」、「A週2〜3回ずつ注射を行う『間欠投与法』」、「B最初の数週間は毎日注射を行い、その後は週3回ぐらいずつ行う『連日投与後間欠投与法』」などがあります。
インターフェロンは、B型慢性肝炎の治療薬として使われ始めたものです。しかしながら、最近になって、治療効果はB型肝炎よりむしろC型肝炎のほうが良好であることとがわかり、近年あらためて注目されています。
ただし、インターフェロンが、C型肝炎のすべてに有効というわけではありません。C型肝炎ウイルスには、遺伝子であるRNAの並び方によって1a〜2b型の4つのタイプがありますが、日本に多い1b型の場合は、約2割の患者さんにしか効果がありません。保有するウイルスの量が多い場合には、治療効果はもっと下がります。インターフェロンがいちばん効くのは2a型で、ウイルスの量にもよりますが、約8割の患者さんが治癒(チユ)します。
- 【参考】「DNA(デオキシリボ核酸)」と「RNA(リボ核酸)」とは
:ウイルスの構造はいたって単純で、子孫を残すための情報だけを備えているのが特徴です。侵入した細胞の中では、その情報に基づいて繁殖します。子孫を残すための情報、つまり遺伝子には、「DNA(デオキシリボ核酸)」で構成しているものと、「RNA(リボ核酸)」で構成しているものの2種類があります。生物はすべてタンパク質でできていますから、繁殖するには新たなタンパク質を合成しなければいけません。その際には、どんなアミノ酸を使って、どんなタンパク質を作るかという情報は、通常、DNAからRNAに転写されて伝えられます。しかしながら、なかには最初からRNAに情報を保存して繁殖しているものもあり、C型肝炎ウイルスもその一つなのです。そのほか、A型やD型肝炎ウイルスもこれに該当しており、全てまとめて「RNAウイルス」と呼ばれます。なお、B型肝炎ウイルスは、DNAウイルスです。
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