A型肝炎(ウイルス性肝炎)の診断・治療方法
- 肝臓病の種類と原因と治療法
A型肝炎(ウイルス性肝炎)の特徴と原因
A型肝炎は、A型肝炎ウイルス(HAV:hepatitis A virus)に汚染された飲み水や、生の食べ物を口にすることによって感染します。衛生状態のよくない地域に多く発生し、地理的には、南の国に多く北の国に少ないという、はっきりした傾向があります。
日本でも、かつて衛生環境の悪かった時代には「流行性肝炎」と呼ばれるほど多発しましたが、現在では、国内での感染は減少しています。近年では、A型肝炎の多発地域の東南アジア諸国などに旅行して、現地で感染するケースが目立っています。A型肝炎ウイルスの免疫(ウイルスや細菌などが体内に侵入した際に、排除して自分の身体を守ろうとする働き)を持たない若い人が旅行する場合は、予防として、免疫グロブリンやワクチンを接種しておくと安心です。
A型肝炎(ウイルス性肝炎)の症状
A型肝炎ウイルスに感染すると、2〜6週間の潜伏期間(ウイルスなどの病原体に感染してから、感染者の体に症状が出るまでの期間)の後に肝炎(カンエン)を発症します。しかしながら、はっきりした症状が出るのはごく一部の場合で、感染しても症状が現れない場合があります(これを「不顕性感染」と言います)。
そして、A型肝炎になると、発熱、頭痛、倦怠感(ケンタイカン)、関節痛、食欲不振、吐き気といった、消化器症状を伴った風邪(カゼ)に似た症状が現れます。これは、他の「ウイルス性急性肝炎」にも共通してみられる症状ですが、A型肝炎の場合は、@その発病が急激であること、A発熱の頻度が高いこと、などといったことが特徴です。風邪(感冒)のような症状が1〜2週間続いた後、今度は尿の色が濃くなる、黄疸(オウダン:身体にビリルビンが過剰にあることによって眼球や皮膚といった組織や体液が黄色く染まる状態)が出るなど、肝臓病特有の症状が現れます。黄痘は2〜4週間ほど続きます。A型肝炎に感染すると、体内にA型肝炎ウイルスに対する抗体(HAV抗体)ができ上がって、二度とA型肝炎になることはありません。
A型肝炎(ウイルス性肝炎)の診断方法
A型肝炎ウイルスに感染しても、このウイルスそのものは血液中にほとんど現れません。糞便中にも、潜伏期間(ウイルスなどの病原体に感染してから、感染者の体に症状が出るまでの期間)に認められるだけです。
そこで、A型肝炎ウイルスに対抗する血液中のIgM型HAV抗体を測定するわけです。このIgM型抗体は、外敵が体内に侵入してきたとき最初に作られる抗体ですが、病気の初期の3か月ほどしか血液中に存在しません。そして、血液検査でIgM型HAV抗体が陽性になれば、現在A型肝炎にかかっていると診断ができます。IgM型HAV抗体は、肝機能が正常化するころになると無くなり、血液中にはIgG型HAV抗体が現れます。この抗体は、血液中に一生存在して感染の予防に努めます。このIgG型HAV抗体が陽性(ポジティブ)であれば、過去にA型肝炎にかかったことがあるということになります。
A型肝炎(ウイルス性肝炎)の治療方法
A型肝炎は、安静にしていれば自然に治癒(チユ)する病気ですが、稀(マレ)に重症に陥るケースもあります。A型肝炎と診断された場合は、入院をすすめられることが一般的です。A型肝炎の治療の基本は、安静にすることです。初期の段階では食欲がまったくなく、何も食べられない患者さんもいるため、点滴によって栄養を補っていきます。
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