アルコール性肝障害:酒の暴飲を続けると肝臓病になる
- 肝臓病の種類と原因と治療法
アルコール性肝障害:酒の暴飲を続けると肝臓病になる
肝臓病というと『酒飲みの病気』というイメージかあります。実際には、ウイルスが原因のトップなのですが、近年増え続けているのがアルコール性肝障害です。
アルコール性肝障害の原因:『百薬の長』も飲み方しだいで『毒薬』に変身
酒などアルコールは人体に悪いかというと、必ずしもそうとは限りません。『百害あって一利なし』のタバコ(喫煙)と比較すると、お酒には、血行を良くしたり、寝つきを良くしたり、ストレス解消に役立つなど、いくつかのメリットがあげられるでしょう。しかしながら、それらもお酒の飲み方次第です。
つまり、毎日大量のお酒を飲み続けると、全身の臓器に悪影響を及ぼします。そのなかでも、肝臓(カンゾウ)は確実にダメージを受けます。もともと日本においては、アルコールによる肝障害はそれほど多くありませんでしたが、近年アルコール消費量の増加とともに、アルコール性肝障害を起こす人も増加傾向にあります。これは、生活が豊かになったことやストレスなどが関係しています。適量ならば『百薬の長』と言われるお酒ですが、節度をわきまえない飲み方をすると、健康を害する『毒薬』となってしまいます。
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- 【参考】「大量の飲酒のもたらす悪影響」について
:アルコールの約90パーセントは、肝臓(カンゾウ)で分解・処理されます。そのために、アルコールを飲むとその分だけ余計に肝臓を働かせること.になってしまいます。そして、毎日のように大量のアルコールを飲み続けると肝臓に障害が起こるのは、当然のことと言えるでしょう。大量の飲酒(深酒)は、肝障害以外にも、胃炎や下痢(ゲリ)などの消化器症状、心筋症(心臓が変性してしまう病気)、不整脈(フセイミャク)、高血圧症などの循環器疾患、脳萎縮(ノウイシュク)などをもたらします。
アルコール性肝障害の経過:飲酒による障害はすぐには現れない
肝臓(カンゾウ)は、アルコールを分解し、解毒(ゲドク)を行う臓器です。飲んだ量が多いと、その分だけ分解する量も増え、肝臓は目一杯働かされることになります。そして、そうしたアルコールの飲む期間が長いほど傷みは深くなっていきます。ただし、アルコールによる肝障害はすぐには患者さんには現れません。5年先、10年先に現れてくるので、検査を受けて正常という人でも安心することはできないのです。当然のことながら、肝臓に異常が発見された患者さんは、これ以上は肝臓に負担をかけることは絶対に避けなければなりません。
アルコール性肝障害の予防:自分に合った適量を守って飲む
「1日に5合以上の酒を10年以上、または3合以上を15年以上飲み続けると肝硬変(カンコウヘン)になる」とよく言われております。飲酒量と飲酒期間は、アルコール性肝障害の発生に大きく関係しています。
それでは、どの程度の飲酒なら安全なのでしょうか。肝臓(カンゾウ)のアルコール処理能力から考えると、日本酒で3合という数字が出てきます。しかしながら、これは最大の量なので、3合より少ない飲酒量であることに越したことはなく、1合以下であるなら安全と言えるでしょう。悪酔いをしやすい患者さん、ようするにアセトアルデヒドを酢酸(サクサン)に変える酵素(ALDH)の働きの悪い患者さんは、3合以下でも毎日飲んでいると肝硬変(カンコウヘン)になることがあります。
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