C型肝炎(ウイルス性肝炎)の診断・治療方法
- 肝臓病の種類と原因と治療法
C型肝炎(ウイルス性肝炎)の症状
C型肝炎ウイルスに感染すると、2〜16週の潜伏期間(ウイルスなどの病原体に感染してから、感染者の体に症状が出るまでの期間)を経て、発熱、頭痛、食欲不振、関節痛など、急性肝炎の症状が現れます。しかしながら、症状の程度は軽く、気づかない患者さんも少なくありません。その上さらに、肝臓病特有の黄疸(オウダン:身体にビリルビンが過剰にあることによって眼球や皮膚といった組織や体液が黄色く染まる状態)も半数ぐらいの患者さんにしか現れないため、自覚症状から発見するのは難しく、慢性化(急激な症状の変化ではなく、症状が長引く状態)してから検診などで見つかるケースがほとんどです。C型肝炎は、早期発見・早期治療がむずかしい病気の一つといえるでしょう。
C型肝炎(ウイルス性肝炎)の診断方法
C型肝炎かどうかは、HCV(hepatitis C virus)抗体の有無でわかります。ただし、かりに陽性(ポジティブ)と出ても、ウイルスがまだ体内にいるのか、消失してしまっているのかまでは判断がつきません。そこで近年においては、C型肝炎ウイルスの検出方法として、HCV−RNAをチェックする方法がとられています。これが陽性(ポジティブ)であれば、現在、患者さんがC型肝炎にかかっていると診断されます。
- 【参考】「DNA(デオキシリボ核酸)」と「RNA(リボ核酸)」とは
:ウイルスの構造はいたって単純で、子孫を残すための情報だけを備えているのが特徴です。侵入した細胞の中では、その情報に基づいて繁殖します。子孫を残すための情報、つまり遺伝子には、「DNA(デオキシリボ核酸)」で構成しているものと、「RNA(リボ核酸)」で構成しているものの2種類があります。生物はすべてタンパク質でできていますから、繁殖するには新たなタンパク質を合成しなければいけません。その際には、どんなアミノ酸を使って、どんなタンパク質を作るかという情報は、通常、DNAからRNAに転写されて伝えられます。しかしながら、なかには最初からRNAに情報を保存して繁殖しているものもあり、C型肝炎ウイルスもその一つなのです。そのほか、A型やD型肝炎ウイルスもこれに該当しており、全てまとめて「RNAウイルス」と呼ばれます。なお、B型肝炎ウイルスは、DNAウイルスです。
C型肝炎(ウイルス性肝炎)の治療方法
C型肝炎ウイルスに感染しても、急性肝炎として発症して、そのまま治癒(チユ)する患者さんもいます。しかしながら、6〜8割は慢性状態(急激な症状の変化ではなく、症状が長引く状態)に移行してしまうのが、C型肝炎のやっかいなところです。
C型肝炎が慢性肝炎になると、体内のウイルスの活動期・休止期に合わせて、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返します。その上さらに、数年から数十年かけて、徐々に肝硬変(カンコウヘン)へと移行していくこともあるため、常に経過を観察することが何より重要です。
最近、C型慢性肝炎の根治療薬として、「インターフェロン」が注目されています。この「インターフェロン」は、ウイルスに直接働きかけることによってそれを排除し、肝臓をもとの状態にするのに効果があります。C型肝炎ウイルスのタイプ(1a〜2b型)、ウイルスの量、肝炎(カンエン)の進行度によって効果にばらつきはありますが、今現在、C型肝炎の完全治癒が可能なのは、このインターフェロンだけです。
そして、その他のC型肝炎の治療法としては、「強力ミノファーゲンC」、「ウルソサン」などの投与が行われます。「ミノファーゲンC」は、『長期投与によってGPTと組織像の改善がみられる』と言う研究報告もあるので、今後の動向が期待されます。
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